からあげ三昧

推しの話がしたい

『QUICK DRAW』感想など

 

bpm本公演「QUICK DRAW(クイックドロウ)」4月22日の昼公演を拝見してきました。

 いや〜〜〜〜楽しかった!!!!

 友だちが5列目のど真ん中という素晴らしい席を当ててくれまして、これは推しの視界に入るのでは…喪女なりに小綺麗にしなくては…という邪念(?)が沸いたので普段は絶対買わないような可愛いスカートに苦手なヒールなんて履いて、お洒落な友だちに髪を巻いてもらって気合い十分で日本青年館に伺いました。

 そんな準備も含めて、本当に楽しい人生初観劇になりました。まさにテーマパークのように、笑いと驚きがずっと続いた3時間でした。忘れないうちにあの日の楽しい思い出をどうしても文字で残したいので、今更ですがブログにしておこうと思います。

 ただ、感想を綴る前にちょっとした注意事項をば。公演から1週間が過ぎましたが、当記事は決して1週間かけてちゃんと推敲したものではなく、忘れる前になんとか残すためのメモのようなものなので(じゃあもっと早く書けよ)、正確詳細なレポではございません。何か間違いがありましたらコメントでもツイッターでもいいので教えてください…。

 また、当記事はオチには触れずにゆきますが、ネタバレを大いに含みますし、DVDを見る前に読んでしまうと色々とバイアスがかかってしまうと思いますので、観劇していない方は読まないことをお勧めします。

 

 

 

 では、既にお話を知っている方がほとんどとは思いますが、ストーリーはこちら。

聖ナツオは、超遅筆の売れっ子漫画家。数百万部の大ヒットをたたき出したウエスタン超大作漫画「風のマイラ」の最終話を書き上げるべく、編集者・ 若村に連れられ、信州の山奥にある温泉旅館へやってきた。

静かな旅館での賑やかな缶詰生活。しかし、若村が旅館の女将に漫画を見せた時、何かが狂い始める……

ハイブリッド・アミューズメント・ショウ【bpm】

 

ちなみにこれはこのストーリーが発表されたときの私のツイートなのですが、

そう、インタビュー(下のリンク)で自分でもおっしゃっていたように、若村章造はまさに下野さんの十八番。何も悪いことしてないのに何故か大変な目にあう青年です。巻き込まれ役もツッコミ役もお上手だし、おどけた演技もすごく可愛らしくて、下野さんにぴったりの役でした。

舞台『QUICK DRAW』下野 紘×浅沼晋太郎の対談インタビューが到着 | PASH! PLUS

 そして、若村の情報として忘れてはいけないのが、一度は夢を諦めたことがあるということ。初めは脚本家を志しており、小さな劇団でホンを書いていましたが、どうもセンスがなかったようで、切ない思いをたくさんしていたようです。

 そんなときに聖ナツオの風のマイラに出会って彼女の作品の虜になり、出版社に就職。希望通りに彼女の担当編集者となりました。そして、彼女が右手のペンから世界を生み出す様子を見て、彼女の才能を確信し傾倒していきます。

 しかし、聖ナツオは超遅筆。最終回の展開がどうしても思い浮かばず、雪山にある小さな旅館で缶詰で作業をすることになります。ここの女将さんに風のマイラを見せたところ女将も作品にハマり、同じ漫画を愛するものとして若村と漫画の話をして楽しく過ごします。女将役の風花舞さんの、とても気品がある振る舞いとお茶目なお芝居、本当に素敵でした…。若村とハイタッチで喜びを共有したり、漫画のシーンを再現して遊んだり、若村にお茶をかけてしまって上着どころか全部脱がせたり(若村がバスタオル巻いて出てきたときの客席のどよめきがすごかったです。大衆を揺るがすおじさんの谷間)。

 が、ナツオがふざけて描いたトンチキ最終回の原稿を見て女将が「展開が納得いかねーんだけどォ!」とブチギレ。納得のいく最終回を提出するまで若村とナツオを監禁すると言い出します。ここからは、破茶滅茶な言動を繰り返す女将に振り回されるナツオと若村の現実パート、またナツオがヤケクソで描いた最終回が漫画世界パートで繰り広げられます。とにかく面白くて面白くて、何度も声を出して笑いました。浅沼さんすごすぎる。

 

 でも、ずっとお笑いパートだけではないのが浅沼さんらしさでした。わたしは、この言葉から始まる若村の一連の長台詞は、聞いていてすごく苦しかったです。

『いいんだよ、聖ナツオは天才なんだから!』

  ナツオを否定するような女将の言葉に対して、女将からひどい仕打ちを受けてきた若村が初めて語気を強めたシーンです。若村はナツオの才能を信じており、本気を出せば最高のラストを描けると思っている。そして、信じているから彼女を侮辱する言葉を許すことができない。若村はナツオなら描けると声高に宣言します。ただ、彼が反発したのはナツオの能力に関することだけで、彼女の人格を否定するような言葉には、反発しないどころか認めるような発言すらしました。それを聞いたナツオは勝手なことを言うなと2人に激昂します。彼女は本当は悩み葛藤しながら、強がりを塗り重ねて作品を作っていたからです。

 

 これはすごく個人的な話というか下野さんとは全く関係ない話なのですが、この舞台の1週間前の4月15日の午前11時、わたしのオタクとしてのスタンスが崩れるような出来事がありました。だから観劇前の1週間は、誰かのファンをすることと、『推し』の人生についてとてもよく考えた7日間だったんです。

 だからこそ、『テーマもなければメッセージもない』と分かっているのに、このシーンがあまりにも胸に突き刺さりました。

 この人ならできるはずだ、この人にはこうであってほしいという理想を勝手に人に押し付けることは、とても残酷なことです。

 でも、どうしても理想を抱いてしまう。大好きなら尚更。その人を信じているなら尚更。若村はナツオの作品が大好きで、また彼女の才能を信じきっています。しかし、自分の苦しみを知らない他人に勝手な理想を押し付けられたナツオは感情を爆発させてしまいました。

 若村は、ナツオの心の叫びを受けて自分の無遠慮さに気がつき、もう一度真摯に、原稿を描いてくれと頼みます。この後にナツオからいつも通りの要求をされて顔を上げた若村の、涙の残る安堵の表情が忘れられません。(いやアンタどんだけナツオ好きやねんとも思ったけど…。今キミの人生は振り回され続けることが決まったんやぞ。)

 このシーンは下野さんと猪狩さんの演技の凄さに圧倒されつつ、若村とナツオの絞り出すような言葉たちに心が締め付けられる気持ちでした。

 そしてこの後は、ストーリーはマイラの死因を描くシーンに向かって収束していき、まだ数回のサプライズが起こりつつも、やはり皆が笑顔になれるラストへと向かいました。

 

 サプライズに次ぐサプライズ、次々と回収される伏線と、3時間ある舞台でも飽きることなんて全くなく、本当に楽しい時間でした。

 実は、わたしは最初は経済的な理由で舞台を観に行くのを諦めていました。交通費が舞台2回分くらいかかりますし、3月も5月も下野さんに会いに東京に行くことが決まっていたので流石に大学生にはキツイ…と思ったからです。でも結局、行かないと後悔する!と思って来てしまいましたが、結果は浅沼さんのおっしゃる通りでした。

この座組で作るこの物語に関しては、交通費分も満足していただくことができると自負しています。

 青年館からの帰り道、あまりに素敵な3時間の余韻でぼんやりするわたしの頭にあったのは「来てよかったな」だけでした。お金を出した甲斐のある、ただただ楽しくて幸せな時間でした。

 そして、下野さんの演技が大好きだと再確認できた時間でもありました。

 

 下野さんの演技をこの目で見られて且つ下野さんが座長だなんてわたしにはなんだか信じられない話で、その状態は日本青年館に着いてもまだ続いていました。公演中は勿論そんなことを考えている暇はなく只管アトラクションを楽しんでいたので、カーテンコールの最後にあの大好きな声で挨拶の音頭をとる下野さんを見て、やっと彼が座長であることを実感できました。舞台の真ん中で胸を張る下野さんはあまりに格好良くて、おこがましいのは百も承知ですが、とても誇らしかったです。

 こう思ったのは、座長として格好良かったからだけではなく、俳優さんとしても素敵だったからだと思います。わたしはOPのポーズと表情のあまりの可愛さにまず驚き、台詞量に驚き、更にそのお芝居の自然さにも驚かされました。ナツオを叱る様子も、おちゃらけた様子も、これもまた十八番といえるかもしれない涙をこらえる様子も、どれもこれもQUICK DRAWの世界に溶け込んだ素敵なお芝居だったと思います。

 

  急に話変わりますけど、最近彼のファンをするの楽しすぎませんか?下野さんに出会った頃の中学生のわたしに、最近の下野さんのことについて話しても信じないと思うんですよ。アーティストデビューもして、ソロライブもして、自分企画でコントもやって、サンリオとコラボして(?)、VRにもなって(??)、座長公演までするなんて。彼自身もテーマパークみたいです、全然飽きない。

 今回の観劇そのものも最高の思い出になりましたが、彼がここでインプットしたものを今後どこかでアウトプットしてくれると思うと本当に楽しみで。また新しい可能性が広がる瞬間に立ち会えてとても幸せでした。

 

 まぁ、あんなに顔が良くて声も良い推しに出会えただけで最高に幸せなんですけどね!!!!!!!

 

 以上、下野さんはもっとレベルアップしていくはずだと、これからも下野さんには我々を楽しませ続けてほしいという理想を勝手に押し付けるタイプのオタクの戯言でした!下野さん、お誕生日おめでとうございました!