Violet Phamtomのエモさを語りたい
一年半にも及ぶ待ちぼうけ期が終わり、Color of Lifeが発売されましたが、いかがお過ごしでしょうか。私は未だ延々リピートのループから抜け出せていません。どの曲もびっくりするぐらい好きなのですが、中でも聴いた回数が特に多いのが、タイトルから分かる通り『Violet Phamtom』です。大阪での予約イベントで手がひりひりするぐらい拍手したのに聴けなかったフラストレーションから解放されたので馬鹿みたいに聴いているのですが、リピートし続けて数度目、「えろい」「むり」「すき」以外の感想が考えられるぐらい冷静になってからちゃんと歌詞の意味を考えてみたところ「あれ・・・?エモくね・・・?」となってしまい、語りたい欲が止まらないのでまたしても訳の分からん深読みブログを書いた次第です。言うまでもありませんが、以下は私の勝手な深読みです!!
各所で語られているように、これは“嫉妬”を擬人化したストーリー調の楽曲で、『戦うべき相手は嫉妬の対象ではなく自分自身だ』というメッセージを持った曲です。つまり、『アイツ』=嫉妬=『俺』ということですね。(これは余談ですが、下野さんのソロ名義の楽曲で一人称が「俺」なのは多分初めてです。この一人称がこの曲の色気というか男らしさに一役買ってる気がします)舞台は恐らく西洋。夜な夜なマスカレード(舞踏会)が開かれる華やかな世界のようです。
神出鬼没なアイツが 不意に現れる
素性は誰も知らない ただ1つ解るコトは
“俺ヲ監視シテル”ということ それだけさ
正体不明な『アイツ』が突然夜の街に現れる。そして、向こうは『俺』にずっとついてくる。
どれだけ駆けても どれだけ逃げようとも
振り切れずに踊らされる 歪なステップで
『俺』は逃げても逃げても振り切れず、動きを操られる。せっかくの舞踏会なのに、足をとられているのか歪なステップを踏まされます。人前で不格好な姿を晒して恥をかいたのではないでしょうか。
紫の煙に巻かれ 靡く群衆
混乱に乗じ 消える 奴はファントム
『俺』は『アイツ』の正体を暴こうとしますが、『アイツ』は紫の煙で周囲の全員を混乱させた隙に逃げてしまいます。
振り返れば 自問自答 奴の思う壺
また眠れず働く 損な役回りさ
『俺』は『アイツ』の正体が気になって仕方がなく、眠れないほど悩まされます。しかし、それすらも『アイツ』の思う壺。悩み続ける日を続けたのち『俺』はついに『アイツ』と戦うことを決心します。
幕開けろ 競って オンステージ 派手な衣装で
お生憎 今日は本気さ 逃げ場はもうない
追い詰めろ スロウなカウントダウン 迫るクライマックス
瞬きも許されない さあ THE END
また滑稽な姿を晒すことになるかもしれなくても、敢えて派手な衣装を身にまとい、ステージ上で『アイツ』を追い詰め、仮面を剥ぐことに成功します。
物語は終わりを迎えたかと思いましたが、数年後、『アイツ』がまた街に現れます。今回出てきた奴は、ただ“不敵ニ微笑ム”奴で、またマスカレードで歪なステップを踏ませてきます。しかし、今回は『俺』は『アイツ』を追いかけたりしません。
紫の煙に巻かれ 靡く群衆
この街の闇 蹴散らせ 俺がファントム
そう、今回仮面を被っていたのは『俺』で、『俺』自身がファントムだったのです。
では、ここで『アイツ』を本来の意味である“嫉妬”に戻して当てはめます。
『俺』は自らの嫉妬心にずっと悩まされていました。嫉妬を覚えさせるような才能を持った人や、自分にできないことができる人から逃げ続けましたが、嫉妬心が消えることはなく、かえって恥をかいただけでした。
その理由が知りたくて何度か嫉妬心と対峙しようとしましたが問題は解決せず、自問自答を繰り返す眠れない日々を送りました。
しかしその後ついに決心し、滑稽な姿を晒すことは覚悟の上で嫉妬心と向き合いました。その結果、嫉妬は自分の中から生まれてくるものであったことに気づきます。走っても逃げきれないのも、常に見張られている気がするのも当たり前です。自分の中から湧いてくるものだったのですから。
そこから数年が経過し、『俺』は忘れていた嫉妬心が蘇るような優れた人間に出会います。今回も『俺』は逃げても踊らされます。でも今の『俺』は昔とは違います。
いつからかあの仮面を被っていたのさ(後略)
この街の闇 蹴散らせ 俺がファントム
嫉妬心は自ら生み出したものだと受け入れ、この街の闇を蹴散らすために“利用”するのです。相手を妬むだけの感情ではなく、嫉妬を糧に、負けじと努力するように変わったのではないでしょうか。
・・・・・エモくないですか??!!!!!??
これをエモいと言わずにどう表現したらいいのかわからないのですが、なんかこう、心にくるものがあります(語彙力が最悪)
私が思う爆エモフレーズ第一位がこれです。
不条理なこの街で 生きるその為に
正しさじゃ語れない 知ってる それくらい
不条理な世界で生きる為に、正しくないことも飲み込んで、心の中の嫉妬から目を逸らしながらも戦う。歌詞からわかるように、このときはまだ、自分のざらざらした感情がジェラシーだなんて認めたくないのに。しかも、戦いの場所に選んだのは逃げ場のないステージで、派手な衣装まで着て。
・・・いやエモいですよね??!!!!(同調を強要するな)
まだ学校という社会からすら一回も出たことがない私には到底想像もつかないのですが、役者の世界って嫉妬渦巻くものなんじゃないかと思うんですよ。生まれ持った声質や滑舌、お芝居の才能だとかそういうどうしようもないことへの嫉妬だったり、それこそ何らかの不条理や納得いかないものへの漠然とした嫉妬だってあるはず。
そんな醜い感情と向き合い、いかに受け入れて生きるか、自分の動力源に変えていくかを考えるのって、とんでもないエネルギーを使うことだと思います。予約イベントで下野さんが「この年になってようやく分かった」とおっしゃってましたが、正確な時期なんてもちろん知り得ませんし知る必要もないですが、本当にこの十年以上、抱えてきた感情なのかもしれないと思いました。
(追記:ラジオ『音鬼と井上麻里奈のH話』にて嫉妬心にまつわるお話がありましたね…。Violet Phamtom聴いて悶えきった直後に聴いたので死ぬかと思いました。ただ、同時に私の推測はそんなに間違っていなかったらしいと感じ少し安心もしました。私がこの曲をちゃんと聴いて最初にイメージした“嫉妬の対象”は梶くんだったので。
あの霧のようなラジオが始まった当初からは信じられないくらい急成長する梶くんを下野さんはどう見ているんだろう、というのはずっと感じていたことでした。梶くんがアワードを獲ったり2人の知名度が逆転し始めたりした時期、何だかんだ負けず嫌いの下野さんに嫉妬が芽生えないはずがないと。実際、ラジオ内でも言及されてた気がしますし。でも、それを30代前半まで抱えていたとは…。あのラジオをやっていたのは2010年まで、下野さんがいわゆる30代前半と言える年だったのは…。時期についてこれ以上考えると泣きそうなのでやめますけど。
全体的に悶え苦しむような話がたくさん聞けた番組でしたが、私がこのラジオで再確認できたのは下野さんのメンタルの強さでした。嫉妬を駆り立てる相手からは逃げたいに決まっているのに、ラジオもあるしアニメでもセット売りが続いて、ずっと側にいる状況でした。それを、何年もかけてうまく昇華した強さ。また、下野さんは梶くんに、すごくカジュアルに「君のこと好き」「君のこういうところが素敵」と伝え続けています。そして「君に嫉妬している」…。ここまで自分の気持ちを相手に言葉で伝えるのって難しいことだと思うんです、少なくとも私にはできません。嫉妬を語ることは、自分の弱いところを自分で声にして受け入れることですから。下野さんの強さって、タフな強さじゃなくて、折れてから耐え抜き、自力で立て直せる強さだと思います。)
あと個人的には、身を焼くほどの嫉妬心にはまだ出会っていないであろう頃から好きだったというジャズにこの歌詞が乗ったのも激エモポイントなのですがどうでしょうか。
たった一曲でこんな長い文章を書かせてくるColor of Life、恐ろしい。(お前が重いだけだよ)